「高齢者の住まい探しが難しいと言われているのに、どうして借りられる賃貸住宅は増えないのだろう?」
高齢者の賃貸住宅探しでは、希望する家賃やエリアに合った物件が見つかっても、年齢を伝えた段階で入居を断られることがあります。
一方で、街には空室のあるアパートやマンションも見られます。それなのに、高齢者が相談できる物件はなかなか増えません。
その大きな理由の一つが、大家さんや管理会社が入居後の対応に不安を感じていても、それを解消できる仕組みが十分に行き届いていないことです。
今回は、実際の住まい探しの現場で感じる課題も交えながら、その背景を考えていきます。
空室があっても、高齢者が入居できるとは限らない
一般的な賃貸住宅では、家賃や間取り、駅からの距離などを条件に物件を探します。
しかし、高齢者の住まい探しでは、それらの条件に加えて「その年齢でも入居について相談できるか」という確認が必要になることがあります。
例えば、家賃も広さも希望どおりの物件が見つかったとしても、80代の一人暮らしと伝えると、大家さんから承諾を得られない場合があります。
また、「高齢者相談可」とされていても、実際には年齢や同居人の有無、緊急連絡先などによって判断が変わることもあります。
つまり、賃貸住宅の空室が増えることと、高齢者が借りられる物件が増えることは、必ずしも同じではないのです。

大家さんが心配しているのは家賃だけではない
高齢者の入居を慎重に判断する理由として、年金収入や家賃の支払い能力を想像する方も多いと思います。
もちろん収入の確認はありますが、それだけが理由ではありません。
特に一人暮らしの高齢者については、室内で体調を崩した場合や、本人と連絡が取れなくなった場合の対応を心配する大家さんもいます。
また、入居中に介護が必要になった場合や、万が一亡くなった場合に、誰が連絡窓口となり、賃貸契約や室内の荷物について対応するのかという問題もあります。
こうした不安は、保証会社に加入するだけですべて解消できるものではありません。
実際に、保証会社の審査を通過していても、最終的な大家さんや管理会社の判断で入居が難しくなるケースがあります。
貸す側が何を心配しているのかについては、高齢者の入居で大家さんが気にする「もしものとき」とは?でも詳しく紹介しています。
管理会社にとっても、入居後の対応が課題になる
大家さんが高齢者の入居を検討する際、管理会社の意見が判断材料になることもあります。
管理会社は、家賃の管理や設備の修繕、入居者からの問い合わせなど、日常的な賃貸管理を担当しています。
一方で、介護や生活支援、緊急時の対応をすべて引き受けられるわけではありません。
そのため、入居後に何かあったとき、管理会社だけに負担が集中するのではないかという懸念が生じます。
見守りサービスや緊急連絡先を用意できたとしても、それぞれの役割が明確でなければ、安心材料として十分に伝わらない場合があります。
高齢者の受け入れを増やすには、入居者本人への支援だけでなく、大家さんや管理会社の不安を軽減することも必要だと感じています。
「高齢者歓迎」の表示だけでは、受け入れは広がらない
最近では、高齢者の入居について相談できると表示されている物件もあります。
ただし、実際に確認すると、年齢の上限を設けていたり、同居する家族がいることを条件としていたりする場合があります。
例えば、60代なら相談できても、80代の単身入居となると難しいというケースです。
高齢者の受け入れに前向きな物件があることは大切ですが、表示だけで判断せず、具体的な年齢や生活状況を伝えて確認する必要があります。
また、一度入居を断られた物件でも、今後受け入れ条件が変わる可能性はあります。ただし、その変化を待つだけでは、住み替えが必要な方の住まい探しは進みません。

高齢者の受け入れを増やすには、何が必要なのか
高齢者が借りられる賃貸住宅を増やすには、「高齢者にも貸してください」とお願いするだけでは限界があります。
大家さんや管理会社にとって、受け入れるメリットと、入居後の不安を軽減できる仕組みの両方が必要です。
例えば、入居者が見守りサービスを利用し、異常があった際の連絡先や対応方法を事前に決めておくことは、一つの安心材料になります。
また、居住支援法人や福祉関係者と連携できる体制があれば、管理会社だけで問題を抱え込まずに済む場合もあります。
2025年10月には改正住宅セーフティネット法が施行され、見守りや福祉サービスへのつなぎを行う「居住サポート住宅」の制度も始まりました。こうした仕組みが実際の賃貸住宅に広がっていくことが期待されます。
ただし、制度ができたからといって、すべての大家さんがすぐに高齢者の入居を受け入れるわけではありません。
仕組みを用意することと、それを貸す側に理解してもらい、実際の受け入れにつなげることは別の課題なのです。
住まい探しの現場で感じること
シニアライフパートナーでも、高齢者の入居について管理会社へ確認する際、年齢や単身入居を理由に難しい回答をいただくことがあります。
保証会社の利用が可能で、家賃の支払いにも大きな問題が見込まれない場合でも、入居後の対応への不安から承諾を得られないケースがあります。
こうした状況では、希望条件に合う物件を探すこと以上に、入居について相談できる物件を見つけること自体が難しくなります。
一方で、入居者の状況を丁寧に伝えたり、管理会社と対応方法を確認したりすることで、相談が進む場合もあります。
大切なのは、大家さん側の不安を無視することでも、高齢者本人に希望を諦めてもらうことでもありません。
双方の事情を理解し、少しずつ受け入れの可能性を広げていくことだと考えています。

まとめ
高齢者が借りられる賃貸住宅が増えにくい背景には、大家さんや管理会社が抱える入居後の不安があります。
空室があることと、高齢者が入居できることは同じではありません。
また、保証会社や見守りサービスがあっても、それだけですべての問題が解決するわけではありません。
高齢者の住まいの選択肢を増やすには、貸す側の不安を理解し、緊急時の連絡や支援体制を整え、その内容を丁寧に伝えていくことが必要です。
高齢者が特別な住まいだけでなく、一般的な賃貸住宅からも自分に合った住まいを選べること。
そのような環境が少しずつ広がっていくことが大切だと考えています。
「高齢という理由で物件を断られた」「希望する地域で入居できる賃貸住宅が見つからない」
そのような場合も、住まい探しを諦める前にご相談ください。
シニアライフパートナーでは、年齢や収入、緊急連絡先などの状況を確認しながら、高齢者の入居について相談できる賃貸住宅を一つひとつ探しています。
すぐに希望に合う物件が見つからない場合もありますが、現在の状況を整理しながら、できることを一緒に考えていきます。
