「できれば今と同じ地域で暮らしたい」「通院している病院や買い物先を変えたくない」。
高齢になってからの住み替えでは、このように希望するエリアを大切にされる方は少なくありません。
長く暮らした地域には、病院やスーパーだけでなく、友人・知人とのつながりや慣れた交通手段など、これまで築いてきた生活があります。そのため、簡単に「別の地域まで広げましょう」とはいえません。
一方、高齢者の賃貸住宅探しでは、希望エリアを限定するほど候補となる物件が少なくなることがあります。
そこで考えたいのが、生活圏を大きく変えずに、探す範囲だけを少し広げられないかということです。
エリアを少し広げるだけでも候補が変わることがある
住まい探しでは、同じ家賃・間取りでも、駅や地域が変われば募集されている物件は変わります。
たとえば「○○駅から徒歩10分以内」だけで探していた場合でも、
- 隣駅まで含める
- 徒歩10分を15分程度まで広げる
- 同じ沿線の前後数駅まで見る
- バスを利用できる地域も検討する
- 行政区ではなく生活圏を基準に考える
といった方法があります。
大切なのは、最初から希望エリアを大幅に変えることではありません。
高齢者の住まい探しでは、インターネットで条件に合う賃貸物件が見つかっても、年齢や収入、保証会社、緊急連絡先などを確認した結果、実際には入居について相談できない場合があります。
そのため、一般的な部屋探しよりも、最初から検討できる候補が限られることがあります。
「検索で見つかる物件」と「実際に入居について相談できる物件」が同じとは限らない理由については、高齢者の賃貸探しでは、なぜ希望条件より「入居できるか」の確認が先になるのか?でも詳しくご紹介しています。

「エリアを広げる」は遠くへ引っ越すことではない
エリアを広げると聞くと、「知らない地域まで行かなければならないのでは」と不安になる方もいると思います。
しかし、必ずしもそうではありません。
たとえば最寄り駅を一駅広げても、住所によっては現在の生活圏からそれほど離れないことがあります。駅からの徒歩分数を少し広げるだけで、新たな賃貸住宅が候補に加わることもあります。
駅名や行政区だけではなく、
「今の病院へ通えるか」
「いつものスーパーを利用できるか」
「家族が訪ねやすいか」
「慣れた地域とのつながりを保てるか」
という暮らしの範囲から考えることも大切です。
特に高齢者の住み替えでは、物件そのものだけでなく、入居後に無理なく生活を続けられるかという視点を忘れないようにしましょう。
まず「動かせないエリア条件」を決める
だからといって、物件が少ないからすぐにエリアを広げればよいわけではありません。
先に整理したいのは、なぜその地域で暮らしたいのかです。
「定期的に通院している病院がある」「近くに家族がいる」「長年利用している商店や地域とのつながりがある」など、人によって理由は違います。
こうした条件まで無理に変えてしまうと、物件は見つかっても、その後の暮らしが不便になってしまう可能性があります。
一方、「駅徒歩10分以内」「○○駅だけ」といった検索条件であれば、少し調整できる場合もあります。
変えられない生活条件と、検索上の条件を分けて考えること。
これが、高齢者の住まい探しでエリアを検討するときのポイントです。

実際に「少し広げる」ことで見つかったケースも
シニアライフパートナーへご相談いただいた60代女性のケースでは、杉並区に住む息子様の近くへの住み替えを希望されていました。
当初は、息子様の住まいを中心とした井の頭線の5駅程度、駅から徒歩10分圏内、家賃6万円前後という条件で探していました。
一度は物件が見つかったものの、契約形態への不安から申込みを辞退。その後も「息子様の近く」という大切な条件は変えず、駅からの徒歩分数だけを10分程度から12分程度へ広げました。
その結果、新たな物件が候補に入り、最終的には息子様の住まいの隣駅にある賃貸住宅への住み替えにつながっています。
この事例のポイントは、すべての条件を変更したわけではないことです。
実際の経緯は、60代女性が「息子様の近く」を優先して探した住み替え事例でご紹介しています。
エリアを広げても入居できるとは限らない
ここで注意したいのは、「エリアを広げれば必ず物件が見つかる」ということではありません。
候補となる物件が増えても、高齢者の賃貸審査では、物件ごとに年齢、収入状況、保証会社、緊急連絡先などについて確認される場合があります。
また、家賃、間取り、階段、エレベーター、ペットなど、ほかの条件との組み合わせによっても選択肢は変わります。
だからこそ、エリアだけを大きく広げるのではなく、自分の場合、何が物件を限定しているのかを確認しながら一つずつ調整することが大切です。
特に単身での住まい探しでは、物件探しと並行して緊急連絡先について整理しておくと、その後の確認を進めやすくなります。緊急連絡先の役割については、緊急連絡先の重要性でも詳しく説明しています。

物件が見つからないときは「どこまでなら広げられるか」を考える
希望するエリアで物件がなかなか見つからないとき、いきなり別の地域へ変更する必要はありません。
まずは地図や路線図を見ながら、隣駅、徒歩分数、バス路線などを一つずつ確認してみましょう。
「この駅でなければならない」と考えていたものが、実際には「この病院へ通える範囲なら大丈夫」「家族の家まで30分程度なら問題ない」と整理できることもあります。
反対に、地域とのつながりや通院など、どうしても変えられない理由があるのであれば、その条件は残したまま別の部分を調整する方法を考えます。
高齢者の部屋探しでは、単純に検索範囲を広くするのではなく、これまでの暮らしをできるだけ維持しながら、検討できる範囲をどこまで広げられるかという考え方が大切です。
まとめ
高齢者の住まい探しでは、希望エリアを限定するほど、候補となる賃貸住宅が少なくなることがあります。
しかし、エリアを広げることは、必ずしも生活圏を大きく変えることではありません。
隣駅まで見る、徒歩分数を少し広げる、バス利用を検討するなど、小さな変更だけでも新しい候補が見つかる場合があります。
その一方で、通院、買い物、家族との距離、地域とのつながりなど、これからの暮らしに必要な条件まで無理に変える必要はありません。
「何を残して、どこなら少し広げられるのか」。
その順番で整理していくことが、自分に合った住まいを探すための一つの方法です。
「今の地域から離れたくないけれど、物件が見つからない」
「どこまでエリアを広げればよいのか分からない」
そのような段階でもご相談いただけます。
シニアライフパートナーでは、東京都を中心に、高齢者ご本人やご家族の希望する生活環境を伺いながら、入居について相談できる物件を一緒に探しています。
住まい探しでは、最初からすべての希望を変える必要はありません。今の暮らしで大切にしたいことから、一緒に整理していきましょう。
