2年前に脳梗塞を発症し、右半身にまひが残った70代の男性から、住み替えについてご相談をいただきました。

現在のお住まいは、約20年間暮らしてきた建物の2階。階段が急で、日々の上り下りが大きな負担となっていたことから、ケアマネジャーの勧めもあり、杉並区内で「1階・段差が極力少ないこと」を条件に住まい探しを始めることになりました。

しかし、1階の物件であっても、建物の入口までに階段があったり、エントランスに段差があったりします。さらに、内覧そのものがご本人にとって大きな負担になることも考えながら進めた住まい探しでした。

今回のご相談

年代:70代男性
世帯:単身
収入状況:年金+貯蓄等
ご相談者:ご本人
ご相談のきっかけ:ケアマネジャーからの紹介
住み替え理由:現在の住まいが2階で、急な階段の上り下りが負担になっていたため
希望エリア:杉並区内
主な希望条件:家賃8.5万円程度、1階、室内までの段差が極力少ないこと、できれば広めの間取り
結果:共用部から室内までの動線に段差がなく、玄関や浴室への出入りもしやすい物件へ

20年暮らした住まいでも、階段の上り下りが大きな負担に

ご本人は現在のお住まいに約20年間暮らしていましたが、2年前に脳梗塞を発症し、右半身にまひが残りました。

建物の2階にある現在のお部屋へ行くには急な階段を上り下りする必要があり、日々の生活の中で大きな負担になっていました。

ケアマネジャーからも、毎日の上り下りを考えると住み替えを検討したほうがよいのではないかという話があり、シニアライフパートナーへご相談いただきました。

ご本人からは、

「上り下りが本当に大変で日々の生活が非常に大変なので安心して住める住まいを探したい」

というお話がありました。

「1階」だけでは足りなかった今回の住まい探し

ご希望は杉並区内、家賃8.5万円程度。ご本人はデイトレードをされており、パソコンを4台使用するため、できれば広めのお部屋をご希望されていました。

ただし、広さ以上に譲れなかったのが「1階で、段差が極力少ないこと」です。

今回、実際に物件を探してみると、「1階」という条件だけでは十分ではありませんでした。

1階のお部屋でも道路から建物までに階段がある物件や、マンションでもエントランスまでに段差がある物件があります。

そのため、物件情報だけで判断するのではなく、高齢者の入居について相談できる候補が見つかると、Googleストリートビューも利用しながら建物周辺を確認。道路から建物までの段差や、段差がある場合にはスロープのような経路がないかなどを事前に確認していきました。

室内の玄関や浴室など、ある程度の段差は避けられない場合もあります。その中で、ご本人が日々外出する際の動線に大きな負担がないことを重視しました。

一度の内覧にも大きな負担がかかる

今回の住まい探しでは、もう一つ大切にしたことがあります。

それは、できるだけ無駄な内覧を増やさないことです。

ご本人は半身まひがあるため、車への乗り降りや車いすでの移動、物件に到着してから室内へ入るまでにも負担がかかります。

内覧時には、当社でも階段の上り下りや車への乗降、車いすでの移動などをお手伝いしながら物件を確認しました。

一つの物件を見るだけでもご本人の体力的な負担は大きく、内覧後にはかなりお疲れの様子でした。

その姿を見て、候補になりにくい物件まで数多く内覧するのではなく、事前にできるだけ条件を確認し、実際に見に行く物件を絞る必要があると感じました。

3回の申込みでも、すぐには決まらなかった

候補となる物件が限られる中、賃貸審査も順調に進んだわけではありませんでした。

最初に申し込んだ物件は、保証会社の審査は承認されたものの、最終的にオーナー審査で難しい結果となりました。

2件目は、事前に年齢や引っ越し理由、収入状況、緊急連絡先となる弟様の居住地などを伝えたうえで相談可能との回答を受けていましたが、申込み後に審査が難しい結果となりました。

3件目は他の方の申込みと重なり、ご本人の申込みでは契約へ進むことができませんでした。

住まい探しを続けても結果につながらない状況に、ご本人も落胆されていました。

それでも今回の場合、身体状況を考えると「階数」や「段差の少なさ」を大きく緩和することはできません。

そこで改めて考えたのが、条件の優先順位でした。

「広さ」よりも、まず安全に暮らせることを優先

当初は、複数台のパソコンを置けるよう、ある程度の広さも希望されていました。

しかし、広さを求めるほど家賃との両立が難しくなります。

そこで、まず優先したのが、現在の住まいで負担になっている階段の上り下りをなくし、日々の生活や外出をしやすくすることでした。

エリアや安全面での条件は変えず、広さについては少し優先順位を下げて物件を探すことになりました。

そして最終的に、当初想定していたほどの広さではないものの、共用部から室内までの動線に段差がなく、玄関や浴室への出入りもしやすい物件が見つかりました。

住まい探しを始めてから約2か月。ご本人が最も重視していた「安全に暮らせる環境」を優先した住まいに決まりました。

物件が決まった際には、何度も内覧や申込みを重ねてきたこともあり、ご本人も住まい探しが終わったことに安心されていました。

「住まい探し以外のサポート・介助まで本当に助かりました。」

という言葉をいただいたことも、担当者として印象に残っています。

担当者より

今回の住まい探しでは、物件を紹介することだけでなく、ご本人の身体状況を考えながら、一つひとつの進め方を考える必要がありました。

電話でのコミュニケーションだけでは十分にお伝えすることが難しい場面もあったため、直接お会いして説明や打ち合わせを行い、内覧時には移動や車への乗り降りなどもできる範囲でお手伝いしました。

私自身、介護職員初任者研修で学んだことを思い出しながら対応しましたが、すべてを十分にフォローできたとは考えていません。

それでも今回の経験から、身体に不自由がある方の住まい探しでは、「条件に合う物件か」だけでなく、内覧するまでの移動や建物への入り方、実際に暮らし始めてからの動線まで確認することの大切さを改めて感じました。

同じようなお悩みをお持ちの方へ

高齢になってからの住み替えでは、家賃や間取り、エリアだけでなく、「玄関まで階段がないか」「建物に入りやすいか」「外出しやすいか」など、実際の生活動線が重要になる場合があります。

特に身体状況によって譲れない条件がある場合、条件を無理に緩めるのではなく、何を優先し、どこなら調整できるのかを整理しながら探すことも大切です。

シニアライフパートナーでは、高齢者の賃貸住宅探しについて、ご本人の状況や日々の暮らし方を伺いながら住まい探しをお手伝いしています。

「今の住まいで階段の上り下りがつらくなってきた」「段差の少ない賃貸住宅を探したい」といった場合も、まずは現在の状況からご相談ください。