「高齢者というだけで、大家さんは入居を嫌がるのでしょうか?」

一人暮らしのために賃貸住宅を探していると、年齢を伝えた段階で「確認が必要です」と言われたり、希望していた物件を紹介してもらえなかったりすることがあります。

こうした経験をすると、「高齢だから貸してもらえない」と感じてしまうかもしれません。

しかし、大家さんが気にしているのは年齢そのものだけではありません。一人暮らしの中で何かあったときに、誰が対応するのか分からないことへの不安が、入居判断に影響している場合があります。

実際、国土交通省が公表している調査でも、高齢者の入居制限を行う理由として「居室内での死亡事故等に対する不安」が大きな割合を占めています。

大家さん側の心配を知ることは、高齢者の部屋探しを諦めるためではありません。「何を準備すれば、安心して入居を検討してもらいやすくなるのか」を考えるための材料になります。

一人暮らしでまず心配されやすいのは「何かあったとき」

高齢者の一人暮らしについて大家さんや管理会社が考えることの一つが、室内で体調を崩した場合などの緊急時への対応です。

例えば、本人と連絡が取れなくなったときに誰へ連絡すればよいのか。入院などで長期間不在になったときはどうするのか。万一、室内で亡くなった場合は、その後の手続きをどう進めるのか。

国も、単身高齢者などの賃貸住宅への入居について、孤独死だけでなく、死亡後の残置物処理や家賃滞納などに不安を感じる貸主がいることを課題として挙げています。

これは「高齢者には貸したくない」という単純な話ではなく、入居後に問題が起きたときの対応が見えないことへの不安として考えることが大切です。

緊急連絡先は「連絡できる人がいる」という安心材料になる

そこで、住まい探しの段階から考えておきたいのが緊急連絡先です。

賃貸契約では、本人と連絡が取れない場合や緊急時などに備えて、緊急連絡先を求められることがあります。

特に一人暮らしでは、近くに家族がいるのか、離れて暮らしていても連絡できる親族がいるのかなど、本人以外との連絡体制を確認されることがあります。

シニアライフパートナーでも、高齢者の住まい探しでは緊急連絡先について確認する場面があります。公式サイトの「緊急連絡先の重要性」では、どのような場面で必要になるのかを詳しく紹介しています。

「家族が近くに住んでいないから無理」と決めつける必要はありません。大切なのは、現在の状況を確認し、誰とどのような連絡が取れるのかを整理しておくことです。

家賃の支払いについて確認されることもある

もう一つは、入居後も継続して家賃を支払えるかという点です。

高齢者の場合、年金が主な収入という方も少なくありません。しかし、「年金収入だから審査に通らない」と一律に決まるわけではなく、実際の入居審査では物件や保証会社などによって確認内容が異なります。

そのため、部屋探しを始める前に、毎月の収入と無理なく支払える家賃を整理しておくことが重要です。

また、保証会社を利用する物件では、申込み後に保証会社による審査が行われます。保証会社ごとに審査内容は異なるため、「この条件なら通る」と事前に断定することはできません。

大家さんの不安を「減らせるか」という視点も大切

高齢者の賃貸住宅探しでは、「高齢者可の物件を探す」という視点だけでなく、貸主側が何を不安に感じているのかを確認し、それに対して準備できることがあるかを考えることも大切です。

緊急時の連絡先が決まっている、保証会社を利用できる、家賃の支払いについて確認できる資料があるなど、状況を整理して伝えることで、貸主側が判断するための材料が増えます。

また現在は、高齢者など住宅の確保に配慮が必要な方の入居を支えるため、居住支援法人などが住まいの相談や生活支援に関わる仕組みもあります。2025年10月には改正住宅セーフティネット法が施行され、大家と入居者の双方が安心して利用できる賃貸住宅市場を目指した制度整備も進められています。

シニアライフパートナーでも、大家さん側の不安とその対応について「高齢者入居のデメリットはサポート商品でカバーできる」で紹介しています。

ただし、利用できる支援やサービスは物件や本人の状況によって異なります。何か一つ準備すれば必ず入居できるというものではありません。

「心配される条件」を隠さず伝えることも住まい探しの一部

「不利になるかもしれないから、できるだけ言わない方がよいのでは」と考えることもあるかもしれません。

しかし、実際の住まい探しでは、年齢だけでなく、一人暮らしであること、収入状況、緊急連絡先、健康や介護に関して住まい選びに影響する事情など、必要な情報を整理したうえで相談した方が、その物件で本当に生活を続けられるかを判断しやすくなります。

最初から希望条件だけで物件を絞るのではなく、現在の状況で入居について相談できる物件を探し、その中から暮らしに合う住まいを選ぶという順番も、高齢者の部屋探しでは選択肢の一つです。

大家さんと入居者、どちらか一方だけの問題ではありません

高齢者の住まい探しでは、借りる側には「住む家が見つからない」という不安があり、貸す側にも「入居後に何かあったらどう対応すればよいのか」という不安があります。

どちらかを悪者にしても、住まいの問題は解決しません。

だからこそ、物件を探すだけでなく、緊急連絡先や保証、入居後の連絡体制などを事前に整理し、貸す側にも判断できる材料を増やしていくことが重要です。

高齢者の住まい探しを支援する仕組みは、こうした借りる側と貸す側の不安をつなぐ役割も担っています。

まとめ

大家さんが高齢者の一人暮らしで心配しているのは、単純に「年齢が高いから」ということだけではありません。

緊急時に誰へ連絡するのか、家賃を継続して支払えるのか、万一のときにどう対応するのか。こうした入居後のことが見えないことが、不安につながる場合があります。

だからこそ、高齢者の賃貸住宅探しでは「入居できますか」と確認するだけでなく、大家さんが心配していることに対して、自分の場合は何を準備できるのかという視点を持つことも大切です。

「一人暮らしなので入居を断られないか心配」
「緊急連絡先や保証について、何を準備すればよいか分からない」

そのような場合は、物件を決める前の段階から状況を整理してみることをおすすめします。

シニアライフパートナーでは、高齢者ご本人やご家族から現在の状況を伺い、物件探しだけでなく、契約時に確認されやすい内容も一緒に整理しながら住まい探しをサポートしています。