「賃貸契約のときに、子どもを緊急連絡先として登録したから安心」
「何かあれば親族に連絡が入るので、特に準備は必要ない」
高齢者の賃貸住宅探しでは、緊急連絡先を確保することが、入居審査や契約を進めるうえで重要になる場合があります。
しかし、緊急連絡先が決まっていれば、入居後のあらゆる問題に対応できるわけではありません。
例えば、急な入院で自宅を長期間空けることになった場合や、本人と連絡が取れなくなった場合、誰が状況を確認し、管理会社などへ連絡するのでしょうか。
大切なのは、連絡先を一つ登録することだけではなく、実際に何か起きたときに、誰がどのような対応をできるのか整理しておくことです。
今回は、高齢者が賃貸住宅で安心して暮らし続けるために、緊急連絡先に加えて考えておきたい備えをご紹介します。
緊急連絡先は「すべてを任せられる人」ではない
賃貸契約で登録する緊急連絡先は、本人と連絡が取れない場合などに、大家さんや管理会社から連絡を受ける相手です。
ただし、緊急連絡先になったからといって、自動的に家賃の支払いや入院時の手続き、退去時の荷物の処分まで引き受けるわけではありません。
また、登録した相手が遠方に住んでいたり、仕事や家庭の事情ですぐに動けなかったりする場合もあります。
例えば、管理会社から「入居者と連絡が取れない」と電話があっても、緊急連絡先の方が現地へ駆けつけられるとは限りません。
そのため、登録する際には、相手の承諾を得るだけでなく、どのような場合に連絡を受け、どこまで協力できるのかを確認しておくことが大切です。
緊急連絡先と保証人の基本的な違いについては、高齢者の住まい探しにおける緊急連絡先の重要性でも解説しています。

急な入院や長期不在のとき、誰が連絡する?
一人暮らしの高齢者が体調を崩し、急に入院することになった場合を考えてみましょう。
本人が管理会社へ連絡できればよいのですが、体調によっては難しいこともあります。
長期間自宅を空ける場合には、郵便物の管理や、室内の設備に問題が起きたときの連絡など、住まいに関する確認が必要になることもあります。
ここで考えておきたいのは、緊急連絡先の方が電話を受けた後のことです。
本人の状況を確認できる人はいるのか。管理会社へ必要な連絡をする人はいるのか。日常生活の支援を受けている場合、その支援者とはどのようにつながっているのか。
こうした役割を、事前に整理しておくと安心です。
なお、医療に関する判断や手続きまで、緊急連絡先の方が当然に担うものではありません。必要な対応は状況によって異なるため、関係者それぞれの役割を分けて考えましょう。
見守りサービスがあれば十分?
高齢者の一人暮らしでは、見守りサービスを検討することもあります。
例えば、定期的な電話や訪問、機器による生活状況の確認など、サービスによって見守りの方法はさまざまです。
ただし、見守りサービスを利用していても、すべての緊急事態に対応してもらえるとは限りません。
異変を確認した後、誰に連絡するのか。現地での確認や必要な手配は、どこまで対応してもらえるのか。
サービスを利用すること自体よりも、そのサービスで何ができて、何ができないのかを把握することが重要です。
契約前には、対応時間、連絡の流れ、費用、利用条件などを確認しておきましょう。
また、見守りサービスと賃貸住宅の緊急連絡先は、必ずしも同じ役割ではありません。管理会社がサービスの利用をどのように判断するかも、物件によって異なります。

緊急連絡先がいても、対応できないことはある
緊急連絡先として登録した方が、年齢を重ねたり、引っ越したり、病気になったりすることもあります。
契約時には協力できると言っていた方でも、数年後には状況が変わっているかもしれません。
そのため、連絡先を登録したまま何年も確認しないのではなく、定期的に連絡が取れるか、現在も協力をお願いできるか確認しておきましょう。
また、緊急連絡先の方が一人だけの場合、その方と連絡が取れなかったときにどうするかも考えておくとよいでしょう。
複数の連絡先を登録できるかどうかは、管理会社に確認が必要です。
入居後の備えとして整理しておきたい5つのこと
高齢者の賃貸生活では、次のような内容を整理しておくことが役立ちます。
1. 緊急時に連絡を受ける人
誰に連絡してもらうのか、相手の承諾は得られているか。
2. 実際に対応できる人
連絡を受けた後、現地での確認や必要な連絡をお願いできる人はいるか。
3. 日常生活で利用している支援
見守りサービス、介護サービス、地域の相談窓口などとのつながりはあるか。
4. 長期入院などで不在になる場合の連絡方法
本人が連絡できないとき、管理会社へ状況を伝える方法はあるか。
5. 連絡先や支援状況が変わった場合の更新
電話番号や住所、協力できる範囲が変わったときに、必要な情報を見直せるか。
すべての項目について、今すぐ対応できる人を決めなければならないわけではありません。
まずは、現在できていることと、まだ決まっていないことを把握するところから始めましょう。

親族に頼れない場合は、相談先を分けて考える
「近くに頼れる親族がいない」「緊急連絡先はいるけれど、それ以上のことはお願いできない」という方もいらっしゃいます。
その場合は、一人の人にすべてをお願いしようとせず、必要な支援を分けて考える方法があります。
例えば、住まいに関することは不動産会社や管理会社、生活や介護に関することは地域包括支援センターやケアマネジャーなど、それぞれの役割に応じて相談します。
ただし、相談先が見つかっても、その機関が緊急連絡先や身元保証人を引き受けるとは限りません。
親族に頼れない方が利用できる相談先については、親族に頼れない高齢者の住まい探し、相談できる場所はある?でも紹介しています。
まとめ
高齢者の賃貸生活では、緊急連絡先を登録することは大切な準備の一つです。
しかし、それだけですべての不安に対応できるわけではありません。
急な入院や長期不在、本人と連絡が取れない場合などを想定し、誰に連絡し、どのような協力をお願いできるのか確認しておくことが大切です。
また、見守りサービスや地域の相談窓口についても、対応できる範囲を把握しておきましょう。
緊急時の備えは、賃貸契約を成立させるためだけでなく、入居後も安心して暮らし続けるための準備です。
「緊急連絡先はいるけれど、実際に何かあったときの対応が心配」
「親族に頼れる範囲が限られていて、住まい探しをどう進めればよいか分からない」
そのような場合は、シニアライフパートナーへご相談ください。
高齢者の賃貸住宅探しについて、現在の生活状況や連絡体制を伺いながら、必要な準備や住まい探しの進め方を一緒に考えています。
