「仕事を退職して、今の収入は年金だけ。賃貸住宅を借りることはできるのだろうか?」
高齢になってから住まい探しを始める方から、このようなご相談をいただくことがあります。特に、これまで持ち家で暮らしていた方や、何十年ぶりかに部屋探しをする方にとって、賃貸審査は分かりにくいものです。
最初にお伝えすると、年金収入だけだから賃貸審査に通らない、というわけではありません。
一方で、「毎月年金が入るから大丈夫」とも一概には言えません。高齢者の賃貸審査では、年金の金額と家賃のバランスをはじめ、保証会社、緊急連絡先、年齢、物件ごとの入居条件など、いくつかの要素を合わせて確認されます。
年金収入で大切なのは「家賃とのバランス」
年金は継続的に受給する収入の一つですが、賃貸住宅の審査では「年金を受給しているか」だけを見るわけではありません。
重要になるのは、毎月の収入に対して、その家賃を無理なく支払い続けられるかという点です。
例えば、同じ年金収入であっても、家賃5万円台の物件を希望する場合と、9万円の物件を希望する場合では状況が変わります。
そのため住まい探しを始める際には、年金の受給額を確認したうえで、家賃だけでなく管理費や毎月の生活費も考え、「この金額なら長く支払いを続けられる」という家賃の上限を決めておくことが大切です。
給与収入やその他の継続的な収入がある場合には、それらについても不動産会社へ伝えられるよう整理しておきましょう。
高齢者の賃貸審査で収入以外に何を確認されるのかについては、**「高齢者の賃貸審査、実際には何を見られている?」**で詳しく整理しています。高齢者の賃貸審査、実際には何を見られている?

保証会社の審査が通れば入居できる、とは限りません
現在の賃貸契約では、保証会社の利用を求められる物件が多くあります。ただし、保証会社によって確認内容や必要書類は異なるため、「年金収入なら通る」「この年齢なら通らない」と一律に判断することはできません。
そして、高齢者の住まい探しで特に知っておいていただきたいのが、保証会社の審査に通過したからといって、それだけで入居が決まるわけではないという点です。
物件によっては、保証会社の承認後に管理会社やオーナー様による確認があります。
実際の住まい探しでは、保証会社の審査自体は通っていても、ご年齢や単身での生活、万が一の際の対応などを考慮したオーナー様の判断によって、最終的に入居の承諾を得られないケースもあります。
これは「年金だから」という一つの理由だけではなく、物件ごとの管理方針や、ご本人の年齢、緊急時の連絡体制など複数の事情が関係します。
そのため、「保証会社が通った=契約できる」と考えず、最終的な入居承認まで確認することが必要です。
年金以外にも「緊急連絡先」が重要になることがあります
特に単身の高齢者の場合、収入面とともに確認されやすいのが緊急連絡先です。
例えば、室内で体調を崩したときや、ご本人と長期間連絡が取れないときなど、管理会社から連絡できる方がいるかを確認される場合があります。
ご家族が近くに住んでいることが安心材料になる場合もありますが、遠方に住んでいるから必ず難しいというものでもありません。まずは、誰にお願いできそうかを住まい探しの早い段階で整理しておくことをおすすめします。
緊急連絡先の役割については、**「緊急連絡先の重要性」**で詳しく解説しています。緊急連絡先の重要性

審査を受ける前に整理しておきたい5つのこと
年金収入で賃貸住宅を探す場合は、物件へ申し込む前に次の点を整理しておくと進めやすくなります。
① 年金など毎月の収入額
年金通知書など、現在の収入が分かるものを準備しておきます。
② 無理なく支払える家賃
希望額ではなく、これから長く暮らすことを考えた上限を決めます。
③ 緊急連絡先の候補
ご家族やご親族など、お願いできる方がいるか確認します。
④ 希望条件の優先順位
エリア・駅距離・間取り・階段・エレベーターなどを「必要な条件」と「広げられる条件」に分けます。
⑤ 入居可能かを先に確認する
気に入った物件を見つけてから年齢を伝えるのではなく、高齢者の入居について相談可能かを先に確認することで、住まい探しの負担を減らせる場合があります。
高齢者の部屋探しでは、検索画面に表示される物件すべてが実際の候補になるとは限りません。**「高齢者の部屋探しは『選ぶ』より『入れる物件を探す』が先?」**でも、この探し方を詳しく紹介しています。高齢者の部屋探しは「選ぶ」より「入れる物件を探す」が先?
一度審査が難しくても、すべての物件が難しいとは限りません
シニアライフパートナーへの実際のご相談でも、60代のご夫婦が杉並区内で住まいを探し、年齢面から一度入居審査が難しい結果となったケースがあります。
その後、ご家族にも協力いただき契約方法を改めて整理し、最終的に入居につながりました。
もちろん、すべてのケースで同じ方法が使えるわけではありません。
大切なのは、一度審査が通らなかったからといって「年金生活だからもう借りられない」と決めつけないことです。家賃、契約方法、緊急連絡先、希望条件などを整理し直すことで、別の選択肢が見えてくる場合があります。
実際の経緯は、**「住まい探しのご相談事例①」**でご紹介しています。住まい探しのご相談事例①

一人で探すことが難しいと感じたら
高齢者の住まい探しでは、年金額だけでなく、保証会社、緊急連絡先、入居条件などを一つずつ確認する必要があります。
ご本人やご家族だけで判断することが難しい場合は、高齢者の住まいに詳しい不動産会社や居住支援法人、自治体、地域包括支援センターなどへ相談する方法もあります。
シニアライフパートナーでは、東京都を中心に、高齢者ご本人だけでなく、ご家族や支援者からの住まいに関するご相談にも対応しています。物件探しから契約、必要に応じた入居前後の支援まで行っています。
まとめ
年金収入だけでも、賃貸住宅を借りられる可能性はあります。
ただし、賃貸審査では「年金を受給している」という一点だけではなく、収入と家賃のバランス、保証会社、年齢、緊急連絡先、物件側の条件などが総合的に関係します。
また、保証会社の審査に通過しても、オーナー様や管理会社の確認によって入居に至らない場合があることも、高齢者の住まい探しでは知っておきたい現実です。
必要以上に不安になるのではなく、まず自分の収入と条件を整理し、現在の状況で相談できる賃貸物件を探すところから始めてみましょう。
「年金だけで部屋を借りられるのか心配」
「何万円くらいの家賃で探せばよいのか分からない」
「保証会社や緊急連絡先についても相談したい」
そのような段階でも大丈夫です。
シニアライフパートナーでは、最初から「問題なく借りられます」とお伝えするのではなく、現在の状況でできること・難しいことを整理したうえで、現実的な住まい探しを一緒に考えています。
高齢者ご本人はもちろん、高齢の親御さまの住まいを探しているご家族や支援者の方もご相談いただけます。
