「仕事を退職して、今は年金だけで生活している。こんな状態でも賃貸住宅を借りられるのだろうか」

高齢になってから住まい探しを始める方から、よく聞かれる不安の一つです。これまで長く持ち家で暮らしていた方や、久しぶりに賃貸住宅を探す方にとっては、現在の入居審査がどのように行われるのか分かりにくいものです。

最初に結論をお伝えすると、年金暮らしだからという理由だけで、賃貸住宅を借りられないと決まるわけではありません。

一方で、年金を受給していれば必ず審査に通るというものでもありません。実際の高齢者の賃貸審査では、年金額と家賃のバランス、保証会社、緊急連絡先、年齢、入居人数、物件ごとの条件など、いくつかの要素を合わせて確認されます。

年金暮らしでまず確認されるのは「家賃を払い続けられるか」

年金も毎月の生活を支える収入の一つです。

ただ、賃貸審査では「年金を受け取っているか」だけではなく、その収入に対して希望する家賃が無理のない金額かという点が重要になります。

住まい探しを始める前に、まず毎月の年金額を確認し、家賃だけでなく管理費、光熱費、食費、医療費なども含めて、今後も無理なく支払いを続けられる金額を考えておきましょう。

「できればこのくらいの家賃」ではなく、「この金額までなら長く支払える」という上限を決めておくことが、高齢者の部屋探しでは特に大切です。

年金と家賃の考え方については、既存記事の「年金収入だけでは賃貸審査が厳しくなる?知っておきたいポイント」で、より詳しく整理しています。

保証会社の審査も確認ポイントの一つ

賃貸住宅では、保証会社の利用を条件としている物件があります。

ただし、保証会社ごとに確認する内容や必要書類は異なるため、「年金生活なら審査に通る」「何歳以上なら難しい」と一律に考えることはできません。

また、高齢者の住まい探しでは、保証会社の審査だけで結果が決まるとは限りません。物件によっては、その後に管理会社や大家さん側の確認が行われる場合があります。

そのため、インターネットで希望の物件を見つけた段階で、家賃だけを見るのではなく、年齢や現在の収入状況を伝えたうえで、入居について相談可能か確認することも大切です。

高齢者の賃貸審査で収入以外に何が確認されるのかは、「高齢者の賃貸審査、実際には何を見られている?」でも詳しく解説しています。

年金以外に確認されやすい「緊急連絡先」

特に単身の高齢者の場合、住まい探しの際に緊急連絡先について確認されることがあります。

例えば、本人と連絡が取れないときや、体調を崩した場合などに、管理会社などから連絡できる方がいるかという点です。

ここで大切なのは、「家族が近くにいなければ賃貸住宅を借りられない」と考えないことです。必要となる条件は物件ごとに異なるため、誰にお願いできるか、どのような方法が考えられるかを早めに整理しておきましょう。

緊急連絡先の役割については、「緊急連絡先の重要性」で詳しくご紹介しています。

年金暮らしで住まい探しを始める前に準備したいこと

年金暮らしで賃貸住宅を探す場合は、物件検索を始める前に次の内容を整理しておくと進めやすくなります。

まず、現在の年金額など収入の状況です。申込みの際に収入を確認できる書類が必要になる場合もあるため、手元にある書類を確認しておきます。

次に、無理なく支払える家賃の上限です。

さらに、希望するエリア、間取り、駅からの距離、階段やエレベーターなどを「生活するうえで必要な条件」と「少し広げてもよい条件」に分けます。

そして、単身であれば緊急連絡先の候補についても考えておきます。

高齢者の住まい探しでは、一般の賃貸検索サイトに表示される物件すべてが実際に申込み可能とは限りません。気に入った部屋を何件も見た後で条件が合わないことが分かると、体力的にも精神的にも負担になります。

そのため、「希望条件に合うか」と同時に「現在の状況で相談できる物件か」を確認するという進め方が大切です。

一度審査が難しくても「年金だから」と決めつけない

実際の住まい探しでは、一度審査が難しい結果になることもあります。

シニアライフパートナーへのご相談でも、60代のご夫婦が杉並区内で賃貸住宅を探した際、最終的に契約した物件で一度入居審査が難しい結果となったケースがありました。その後、ご家族にも協力いただき契約方法を整理し直したことで、入居につながっています。

このケースについては、「住まい探しのご相談事例①」で実際の経緯をご紹介しています。

もちろん、すべての方に同じ方法が使えるわけではありません。

大切なのは、審査結果を「年金暮らしだから」と一つの理由だけで判断せず、家賃、保証、緊急連絡先、契約方法、希望条件など、見直せる部分がないか整理することです。

まとめ

年金暮らしでも、賃貸住宅を借りられる可能性はあります。

ただし、高齢者の賃貸審査では、年金収入だけを見るのではなく、家賃とのバランス、保証会社、緊急連絡先、年齢や物件条件など、複数の要素が関係します。

これから高齢者の住み替えを考える場合は、「年金だから借りられるか、借りられないか」と考えるよりも、現在の収入と暮らしに合う家賃を決め、相談できる物件を探す準備をすることが大切です。

「年金だけで賃貸住宅を借りられるのか分からない」

「どのくらいの家賃で探せばよいか迷っている」

「保証会社や緊急連絡先についても確認してから部屋探しを始めたい」

そんな段階でも、住まい探しの条件を整理することはできます。

シニアライフパートナーでは、高齢者ご本人はもちろん、ご家族や支援者からの住まいに関するご相談もお受けしています。どのような支援を行っているかは、「シニアライフパートナーとは?」でもご紹介しています。