「空室があるのに、高齢者という理由で入居を断られてしまった」
「家賃を支払えるのに、大家さんの承諾が得られない」
高齢者の賃貸住宅探しでは、このような状況に直面することがあります。
一方、大家さんにとっても、空室が続くことは望ましいことではありません。それでも、高齢者の入居については慎重に判断するケースがあります。
その背景には、家賃の支払いだけでなく、入居後に何か起きたときの対応や、管理上の負担に対する不安があります。
今回は、高齢者の入居を受け入れる大家さんが増えにくい理由を、賃貸仲介の現場から考えてみます。
空室を埋めたい気持ちだけでは決められない
賃貸住宅を所有する大家さんにとって、入居者が決まり、安定した家賃収入を得られることは大切です。
しかし、賃貸借契約は一度結べば終わりではありません。入居後も建物の維持管理や設備の修理、入居者からの問い合わせなど、さまざまな対応が続きます。
特に高齢者の入居では、将来的な健康状態の変化や、一人暮らし中の緊急事態について心配されることがあります。
もちろん、こうした問題は高齢者だけに起こるものではありません。
ただ、大家さんが高齢者への賃貸経験を持っていない場合、どのような対応が必要になるのか分からず、受け入れに慎重になることがあります。

大家さんが心配するのは、緊急時に誰が対応するか
一人暮らしの高齢者を受け入れる際、大家さんが気にすることの一つが、入居者本人と連絡が取れなくなった場合の対応です。
例えば、体調を崩して室内で動けなくなったとき、異変に誰が気づくのか。管理会社が連絡しても応答がない場合、誰に相談すればよいのか。
さらに、万が一亡くなられた場合には、関係者への連絡や残された家財の取り扱いなど、通常の建物管理とは異なる問題も生じます。
大家さん自身がすべて対応しなければならないわけではありませんが、対応する人や手順が分からなければ、不安を感じるのも自然なことです。
こうした入居後の不安については、高齢者の入居で大家さんが気にする「もしものとき」とは?でも詳しく紹介しています。
保証会社の審査に通っても、安心材料が足りない場合がある
賃貸契約では、家賃債務保証会社を利用するケースが一般的になっています。
保証会社を利用できれば、家賃滞納などに対する大家さんの金銭的な不安を軽減できる場合があります。
しかし、保証会社は入居者の日常生活を見守ったり、緊急時の対応をすべて引き受けたりするものではありません。
そのため、保証会社の審査を通過していても、緊急連絡先や入居後の連絡体制が整っていないことを理由に、大家さんが慎重になる場合があります。
ここで重要なのは、家賃の保証と、入居後の生活に関する連絡体制は別の問題だということです。
緊急連絡先が求められる理由や役割については、緊急連絡先の重要性で説明しています。
管理会社が対応できる範囲にも限りがある
大家さんが管理会社へ建物管理を委託していても、入居者の生活上の問題すべてに対応できるとは限りません。
設備の故障や家賃の管理は通常の業務ですが、日常的な安否確認や介護、医療に関する判断などは、一般的な賃貸管理業務の範囲外となることがあります。
管理会社が対応できない問題について、誰が相談を受け、どの機関につなぐのか。
その役割分担が決まっていなければ、大家さんとしても安心して入居を認めにくくなります。
反対に、緊急時の連絡先や利用している支援サービスが明確であれば、入居について相談しやすくなる場合もあります。

高齢者の受け入れ実績がないことも、判断を難しくする
高齢者の入居を受け入れた経験がない大家さんの場合、実際にどのような問題が起こるのか、どのような支援を利用できるのかが分からないこともあります。
そのため、年齢だけで一律に判断するのではなく、本人の収入や生活状況、緊急連絡先などを確認する機会が重要になります。
実際にシニアライフパートナーへご相談いただいた70代女性のケースでは、希望する物件に65歳以上の方を受け入れた実績がありませんでした。
しかし、管理会社の担当者が年金や就労収入、預貯金などを確認し、大家さんへの相談に協力してくださったことで、最初に申し込んだ物件で契約することができました。
詳しくは、70代女性の住まい探しの相談事例で紹介しています。
すべての物件で同じ結果になるわけではありませんが、受け入れ実績がないことと、入居を認めてもらえないことは必ずしも同じではありません。
大家さんが判断しやすくなるために必要なこと
高齢者の入居を受け入れやすくするには、単に「高齢者でも大丈夫です」と伝えるだけでは十分ではありません。
大家さんが心配している内容を確認し、それに対してどのような対応が可能なのかを具体的に説明することが大切です。
例えば、家賃については収入や預貯金、保証会社の利用状況を整理する。緊急時については連絡先や見守りサービスの内容を確認する、といった準備が考えられます。
また、必要に応じて居住支援法人や地域の福祉関係機関と連携することも、一つの方法です。
ただし、見守りサービスや居住支援法人が、すべての緊急対応を引き受けられるわけではありません。
大切なのは、利用できる支援を正確に伝え、大家さんが入居後の対応を具体的にイメージできる状態にすることです。
大家さんの理解が、住まい探しの結果を変えることもある
70代の男性から、高齢の猫と一緒に暮らせる賃貸住宅を探したいというご相談をいただいたケースもあります。
生活保護の住宅扶助の範囲内で、猫の飼育も認められる物件を探す必要があり、住まい探しには時間がかかりました。
最終的には、高齢者の入居に理解のある大家さんと出会い、家賃についても相談に応じていただけたことで、契約につながりました。
70代男性と高齢の猫の住まい探しの相談事例では、その経緯を紹介しています。
このように、入居希望者の状況を確認したうえで、大家さんが個別に判断してくださることが、住まいの選択肢につながる場合もあります。

まとめ
高齢者の入居を受け入れる大家さんが増えにくい背景には、家賃の支払い能力だけでは解消できない不安があります。
緊急時の連絡、入居後の生活上の問題、管理会社が対応できる範囲など、確認したいことはさまざまです。
一方で、入居希望者の状況や利用できる支援を具体的に伝えることで、受け入れについて相談できる場合もあります。
高齢者の住まいの選択肢を広げるためには、入居希望者だけに準備を求めるのではなく、大家さんや管理会社が安心して判断できる環境を整えることも大切です。
「高齢という理由で、大家さんの承諾が得られない」
「保証会社の審査には通ったのに、入居を断られてしまった」
このような場合は、物件ごとの受け入れ条件を確認しながら、住まい探しを進める必要があります。
シニアライフパートナーでは、高齢者の賃貸住宅探しについて、収入や緊急連絡先などの状況を整理し、大家さんや管理会社へ入居の相談ができる物件をお探ししています。
希望する物件がすぐに見つかるとは限りませんが、住まい探しでお困りの際は、一度ご相談ください。
